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  • 執筆者の写真鈴木孝紀

2018年 グリーフケアセミナー報告


こんにちは、いつも栃木EMFでご奉仕をさせていただいています鈴木です。

この度、2018年11月にグリーフケアに関するセミナーを実施することができました。

今回はEMFに関わる皆さんへの感謝と実施報告のために寄稿をさせていただきました。

最後までお付き合いいただき、共にこの課題のためにお祈りいただければ嬉しく思います。

「グリーフケア」とは何か?

 「嘆き:Grief」を抱える人々に、どう寄り添えるのか。国内において、キリスト者・非キリスト者問わず、グリーフケアに注目が集まっています。それらは、自殺者やガン患者の遺族たちを対象とするものが中心的で、今回行われた「中絶後のグリーフケア」というテーマは、日本では未開拓の領域でした。

 いま日本では、年間約17万件の中絶が行われている現実があります(1日約460件)。それはつまり、全妊娠者の約15%が人工妊娠中絶を選択したということです。それだけ多くの人々が、いまも中絶後のグリーフを抱えています。

私たちの「グリーフケア」へのフォーカス

 今回カナダから、中絶後のグリーフケアや性教育を専門としているChristian Advocacy Society of Greater Vancouver(CAS)を招き、全国5か所(東京、栃木、奈良、福岡、大阪)でグリーフケアセミナーを開催しました。

 講師であるDr.ローラは、「『価値:Value』をどう捉えるかによっていのちや性、結婚に対する捉え方が決まる。」と語りました。現代では、結婚とセックスが切り離されて考えられています。婚前交渉を禁じる考えは、人々にとって古臭い昔の伝統となりました。またセックスと妊娠も避妊教育によって切り分けられ、最終的には、妊娠と親になることの関連性さえ失っています。現代人にとって、「妊娠は想定外のもの」となり、想定外の妊娠によって宿ったいのちに対して「価値があるのか、それともないのか。」という問いが、いま投げかけられているのです。

 聖書が語る「いのちの価値」は一貫したものです。「神はこのように、人をご自身のかたちに創造された。神のかたちに彼を創造し、男と女とに彼らを創造された。(創世記1:27)」「「わたしは、あなたを胎内に形造る前から、あなたを知り、あなたが腹から出る前から、あなたを聖別し、あなたを国々への預言者と定めていた。(エレミヤ1:5)」

 聖書がこのように語る「いのちの価値」は、時代がどれだけ異なった価値観を提示したとしても変わるものではありません。ある人々は、時代に逆行した教えだと非難しますが、時代が聖書の価値観に逆行しているのです。「人々が健全な教えに耳を貸そうとせず、自分につごうの良いことを言ってもらうために、気ままな願いをもって、次々に教師たちを自分たちのために寄せ集め、真理から耳をそむけ、空想話にそれて行くような時代になるからです。(2テモテ4:3-4)」とある通りです。

 また「癒しへの会話」というビデオが流され、女性たちの素直な思いが述べられていました。カナダにおいて、毎週教会に通う女性の半数以上が、「教会は中絶経験者に対して安全な場所ではない」と考えているそうです。また4人に3人が「中絶の罪は、赦されるものと感じられない。」と考えています。

 この情報はカナダでの統計ですが、日本においてはこれ以上の数字が出るかもしれません。中絶をタブー視する中で、その問題の中で嘆いている人々に寄り添うことはできなかった過去があるでしょう。中絶を誤った選択と捉えながら、その選択をした人々に寄り添うというのは、一見矛盾しています。しかし神の子イエス・キリストご自身が、当時の人々が矛盾と感じるような形で、人々を愛したのではないでしょうか。ユダヤ人社会において罪人と呼ばれた人々と交わり、ともに食事をしたのが私たちの救い主です。

 講師であるノーマは、「嘆くことを許可するのが、ケアには重要である。」と言いました。教会とは、十字架と復活によって罪を赦し、私たちを罪から救い出したイエス・キリストを信じる人々の集まりです。私たちクリスチャンが、神によって罪を赦されたように。嘆きの中で神に支えられたように。回復の途上を歩む中で、神の憐れみを受け取ったように。中絶によって嘆く人々に、嘆く場所と機会を与えることができるのではないでしょうか。

総括

 今回行われたセミナーは、合計144名の参加者が集まりました。参加者の中には、昨年から関わらせていただいているEvangelical Medical Fellowship(EMF)の方々が多く居ました。そして、ともにセミナーを主催したグリーフケアミニストリーズのメンバーも、EMFの会員です。

 EMFに参加当初、医療者のコミュニティに一介の牧師がどう関われるのか、と悩みました。しかし昨年行われたサマーキャンプでの分科会奉仕を通して、この働きを周知してくださったこと。栃木EMFのメンバーや他のEMFメンバー1人1人が、祈りと奉仕によって支えてくださったことを、非常に感謝しています。

 最後に、中絶後の人々に関わるミニストリーの中心は「イエス・キリスト」です。罪の赦しも、嘆きを喜びに変えるのも、神の御業です。救い主イエスに信頼しつつ、これからもこのミニストリーに関わらせていただきます。

 「神である主の霊が、わたしの上にある。主はわたしに油をそそぎ、貧しい者に良い知らせを伝え、心の傷ついた者をいやすために、わたしを遣わされた。捕われ人には解放を、囚人には釈放を告げ、主の恵みの年と、われわれの神の復讐の日を告げ、すべての悲しむ者を慰め、シオンの悲しむ者たちに、灰の代わりに頭の飾りを、悲しみの代わりに喜びの油を、憂いの心の代わりに賛美の外套を着けさせるためである。彼らは、義の樫の木、栄光を現わす主の植木と呼ばれよう。(イザヤ61:1-3)」

執筆:峰町キリスト教会 牧師 鈴木孝紀

1991年栃木県宇都宮市で、3人姉弟の末っ子長男として誕生 宇都宮大学生1年次に信仰を持つ

宇都宮大学 工学部情報工学科卒 関西聖書学院卒

現在、峰町キリスト教会牧師

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