今日のクリスマスメッセージです。取り上げる聖書箇所には、救い主であるイエス様がこの地上に生まれる以前。母マリアと父ヨセフに起こった出来事が描かれています。
マタイ1:18-25
イエス・キリストの誕生は次のようであった。母マリアはヨセフと婚約していたが、二人がまだ一緒にならないうちに、聖霊によって身ごもっていることが分かった。夫のヨセフは正しい人で、マリアをさらし者にしたくなかったので、ひそかに離縁しようと思った。彼がこのことを思い巡らしていたところ、見よ、主の使いが夢に現れて言った。「ダビデの子ヨセフよ、恐れずにマリアをあなたの妻として迎えなさい。その胎に宿っている子は聖霊によるのです。マリアは男の子を産みます。その名をイエスとつけなさい。この方がご自分の民をその罪からお救いになるのです。」このすべての出来事は、主が預言者を通して語られたことが成就するためであった。「見よ、処女が身ごもっている。そして男の子を産む。その名はインマヌエルと呼ばれる。」それは、訳すと「神が私たちとともにおられる」という意味である。ヨセフは眠りから覚めると主の使いが命じたとおりにし、自分の妻を迎え入れたが、子を産むまでは彼女を知ることはなかった。そして、その子の名をイエスとつけた。
なぜイエス様はこのように生まれる必要があったのでしょうか。わざわざマリアとヨセフに普通ならあり得ないことを体験させる必要があったのでしょうか。
いまから3つの理由を見て行きます。
1. 預言が成就するため(22節)
1つ目の理由は22節
「このすべての出来事は、主が預言者を通して語られたことが成就するため」
23節の「見よ、処女が身ごもっている。そして男の子を産む。」
この預言が成就するために、マリアは聖霊によって身ごもり、イエス様を産みました。この預言はイエス様誕生の700年前、預言者イザヤという人物を通して、神様が語られたことです。イザヤ書7:14「それゆえ、主は自ら、あなたがたに一つのしるしを与えられる。見よ、処女が身ごもっている。そして男の子を産む」
預言とはいわば神様からの約束です。
私たちは約束を守ったり、破ったり、仕方なく破ったり、うっかり破ったり。どうしても100%約束を守り守られ、というのはないでしょう。しかし神様は100%約束を守る方です。自分が「こうする」と言ったことを一方的に破ることはありません。ですから700年前の預言、この約束を守るため、マリアとヨセフが選ばれたのです。
2. 罪をもたずに生まれるため(20節)
2つ目の理由は、「罪を持たずに生まれるため」です。
マリアは聖霊によって身ごもったとあります。
20節「その胎に宿っている子は聖霊によるのです。」
イエス様が生まれる前、マリアとヨセフの間にいわゆる男女の関係はありませんでした。当然子供ができることはありません。それにも関わらず、子供を身ごもった。その不思議さに「マリアは他の男と関係を持った」とヨセフが思ったわけです。
なぜわざわざこのような誤解を生む生まれ方をしなければならなかったのか。普通にマリアとヨセフが関係を持って、そして生まれてきても良いじゃないかと思いませんか。しかしそれでは駄目です。
なぜなら人は「罪の性質」を遺伝していくからです。私たちは自分の両親から肌の色や目の色、背格好といった肉体的性質だけでなく１番初めの人間アダムとエバの時代から続く「罪の性質」を引き継いでいるのです。
罪の性質とは、一言で言うと、神様が望まないことをどうしてもしたくなる性質です。誰に教わったわけでもなく、聖書に「してはならない」と書いてあることをしたくなる。これが「罪の性質」と呼ばれるものです。
詩篇の作者もこう歌っています。
詩篇51篇5節「私は咎ある者として生まれ 罪ある者として母は私を身ごもりました。」
この詩篇の作者も、自分自身が両親から罪の性質を遺伝していることを自覚していました。聖書は「人は生まれながらに罪人だ」と言っています。勘違いされやすいのですが、罪を犯したから罪人、ではありません。生まれながらに人は罪人である。罪人だからこそ罪を犯してしまう。これが聖書のいう罪の遺伝です。
しかしイエス様は違います。人ではなく聖霊によって身ごもったので、罪の性質を持たずに生まれました。罪を持たないイエス様だからこそ、私たちの罪の身代わりとして死ぬことができたのです。
3. 私たちを救うため(21節)
3つ目の理由は、21節「ご自分の民をその罪から救う」ためです。
2000年前、イエス様が地上に生まれたのは私たち人間を罪から救うためでした。
罪から救われずに生きるというのは本当に残酷なことです。天国への希望がない。そしてこの地上で生きている間も、罪の性質に振り回されて生きなければならない。これは本当に虚しい状況です。
ある時、中学二年生14歳の少女が警察に捕まりました。逮捕理由は、違法な薬物と売春行為です。彼女は警察に捕まり、両親に対してこんな手紙を書きました。「二人の育て方が悪いからぐれたんじゃない。ただ空しいから、ただ切ないから、寂しいから泣きたいから。悲しくなることを忘れたいから。だけど余計につらくなる。自分がわからない。どんなに考えても答えがない。答えがわかったら、真面目になれる気がする。なぜこんなに切ないのか、なぜこんなに空しいのか。お父さんおかあさん、ごめんなさい。」
彼女は両親の育て方には問題がなかったと言っています。自分がこうして罪を犯してしまうのには、なぜか分からないけれど、内側に虚しさがあって、どうかしてしまった。これが罪の性質に振り回されるということです。自分をコントロールしているつもりなのに、コントロールができていない。一見自由なのに不自由に生きるしかない。これが罪の恐ろしいところです。
罪から救われるというのは、天国へ入れるようになる、だけではなく、罪の恐ろしい支配から解放されるという意味でもあるのです。
マリアとヨセフに起こったこの不思議な出来事。神様が約束を守るために。イエス様が罪を持たずに生まれるために。そして私たちを救うために。
この2000年前にあった出来事は、今の私たちのためでもあります。
このことを受け取り、喜んで、感謝するのがクリスマスという季節です。
どうぞ皆さんの上に、神様の祝福がありますように。お祈りします。
Comentários